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萩梨 さんへ捧げ物♪ [→しんり・くろ・ぽとふ]

■萩梨 さんへ捧げ物♪
■萩梨 さんから頂き物♪
■ねこしょうかい★
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■萩梨 さんへ捧げ物♪
萩梨 さん宅 ルフィルトおねーさんと、くろさんのお友達関係記念で可愛いお話を頂戴しましたvvv
で、いつものように挿絵っぽい物~★

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萩梨 さんのみお持ち帰り下さい♪

萩梨 さんのブログ『書き散らかし』はこちら
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■萩梨 さんから頂き物♪
ルフィルトおねーさんが可愛いのですよ~vvv
そしてくろさんも可愛いw

 ̄ ̄『カンパリオレンジ』 ̄ ̄
(甘酸っぱさと、ほのかな酩酊をもたらすそれは、)


半分に欠けた月が雲の間から覗いている。
その朧な照明しか光源のないような寂れた街の、更に寂れた一角に古びた酒場があった。
外観は人を寄せ付けない雰囲気がかなりあるものの、中は清掃が行き届き、調度品も変にお高く留まった感じがしないのに気品の溢れる作りをしたものばかりで、洒落ていると言っても過言ではない。
そんな酒場のあまり大きくはないカウンターに、二人の男女が座っていた。

「なんで貴方がここにいるんでしょうね…」
「……いや、未成年のお前が酒場なんて入って行くから心配になってさ」

悩ましげに溜息をついた少女の名はルフィルト。
その隣の青年の名はくろという。

「ご心配なく。私はただ腰を落ち着ける場所を探していただけですから」
「でも、こんな時間にこんな場所に居て、チビ達が心配してんじゃないのか?」
「そのこども達と喧嘩してきちゃったんですよ…」
「…どうせまたなんかお前がドジでも踏んだんだろうな」
「…………………」

二人の間に気まずい沈黙が流れる。
くろはその間、自分のグラスに注がれたジントニックを少しずつ減らしていく。
彼が隣を見遣ると、ルフィルトのグラスの氷がからりという音を立てた。

「店主のおっさん、烏龍茶一つと適当につまめるモンくれよ」
「かしこまりました」

グラスを拭いていた店主はその手を止め、冷やしていた飲み物とチーズの盛り合わせをカウンターに出した。
くろはそれらをルフィルトに寄越すとルフィルトは軽く頭礼をする。

「…で、何をしでかしたんだお前は?」
「…それがですね…、」
ルフィルトはぼそぼそと呟くような声でいきさつを話した。

□□□

話は一週間ほど前に遡る。
ルフィルトと、彼女の同居人であるセリノと和辰はある商店街に来ていた。

「ルフィルトさん。今日のご飯、どうしましょうか?」
「私、今日は冷たいものが食べたいー!」
「う、うー…ん、素麺とかどうかな?安いし、さっぱりしてるし…」

買い物に行くにも楽しそうなセリノと和辰を見て、ルフィルトは若干申し訳なさを含んで言った。

「また素麺なの?私、この前収入が入ったばかりだからもう少し贅沢してもいいんだよー?」
「それに、最近麺類が多くないですか?気温が高いから熱いものを食べたくないのもわかりますが…」

二人が不思議そうにルフィルトを眺める。
ルフィルトは目のやり場に困って二人から目を逸らすと、そこにセリノが回り込んで強引に視線を合わせた。

「さては何か、隠し事をしていますねー…?」

セリノはジト目でちょっと凄みをきかせると、ルフィルトは恐る恐る口を開いた。

「実は…セリノちゃんの収入でね、宝くじ買っちゃったの。て、てへっ」

ルフィルトは無理矢理笑顔を作る。

「またですか、ルフィルトさん……」

和辰は呆れたように言い、セリノはこれみよがしに溜息をついた。

「前にかなりの額を投資して、二、三枚だけしか当たらなかった覚えがあるよー…」
「それで投資額の一割も帰って来なかったじゃないですか…」
「こ、今度は当たるよ!上手ーい具合にずらして買っていったから絶対一等だよ!絶対!」

ルフィルトの声が虚しく響いた。

□□□

「そんだけなら別に怒る道理はねぇな」
「まあ、宝くじが当たれば丸く収まったんですけどね…」
「少しは当たったんだろ?」

その言葉にルフィルトはぎくっ、といったような動きを見せる。

「…全部、ダメでした…」
「全部!?」

くろは驚きを隠せずに思わず大声を出した。

「えー…と、普通に買っていけば下一ケタとか二ケタくらいは当たるはずだよ、な?」
「自分では、上手くずらして買ったつもりだったの…」
「そりゃ誰だって怒るわ…」

くろは思わず頭を抱える。

「私、くろさんの家で預かってもらえませんか?もう二人に合わせる顔がないですよ…」
「チビ達が駄目なら、俺に貧乏くじを引かせる算段か」
「ですよねぇ…わかってますけど、貧乏くじ扱いはひどいですよ…」

ルフィルトは溜息をつきながら皿に盛られたチーズの中でもとりわけ緑色っぽいものに手を伸ばした。

「いただきまーす、と。…うっ、なにこのチーズっ、味キツイ…」

ルフィルトは慌てて自分の口内へグラスを傾け、チーズを流し込む。

「そりゃゴルゴンゾーラはキツイさ。あんまよくわかんねーけどめちゃくちゃカビてるしな。普段食うようなモンと一緒にすんなよ」
「あー、これがゴルゴンゾーラチーズってやつかあ。この緑っぽいの、ハーブか何かかと思っちゃいました」

くろはルフィルトが照れ混じりに笑うのを横目で見ながらチーズを口に放り込む。

「酒と一緒につまむんなら、なかなか悪くねぇぞ。お前はつまみがどうこうの前にすぐ酔い潰れそうだけどな」
「ひ、ひどいっ。わたしが飲んだとこみたことないくせに!」

くろの軽口に、頬を紅潮させながらルフィルトは返した。

「でも、なんかくろさんとしゃべってたらなやんでるのばからしくなってきたやー」
「そいつは良かったな」
「えへへー、ありがとうっ」

ルフィルトは無邪気に笑う。
その時、くろはその顔がやけに紅く上気していることに気づいた。

「ルフィルト、お前熱でもあるんじゃないか?」
「えー、そんなことないですよう」
「まあいいから、ちょっと面貸せ」

そういうとくろはルフィルトの額に自らの手を当てた。

「熱は、ねぇな。だけど…」
「んー?」
「お前、酒臭くないか?」

くろの聡い鼻は彼女から僅かに漂うアルコール特有の臭いを嗅ぎ付けていた。

「わたし、おさけなんてのんでないじゃないですかあっ。くろさんのおばかさんー」

あはは、と笑う彼女のテンションも明らかにおかしいものがある。

「まさか…」

くろの視線はルフィルトのグラスに注がれる。
色こそ烏龍茶のそれだが、顔を近づけると明らかに人を酔わせる毒を含んだ臭いを感じた。

「…おい、おっさん。これ烏龍茶じゃなくて烏龍ハイじゃないのか?」
「おや、すみません。では、代わりの烏龍茶を…」
「烏龍茶はもう信用できん。ルフィルト、何飲みたい?」
「ジュースがいいなー。あまいやつー」
「…彼女にオレンジジュースと、俺に適当なカクテルを」
「かしこまりました」

くろは明らかに精神年齢が退行しているルフィルトを見て、呆れながらも店主に注文した。
ちょっと不機嫌そうに腕を組むのを見て、ルフィルトは彼の腕を掴む。

「くろさーん」
「なんだ」

ルフィルトは一呼吸置いて、彼をとんでもなく驚かせるようなことを言った。

「わたし、くろさんのこと、すき」
「…は?」

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ルフィルトのいきなりの発言にくろはまともな言葉も出てこなかった。
彼女はにこにこと笑みを浮かべながら続ける。

「くろさんはたよりになるしー、やさしいしー、かっこいいしー。わたし、くろさんのことだいすきみたいだなあ」
「ば、馬鹿言うなよ。男嫌いなんじゃなかったのか?」
「そんなこといったっけー?じゃあ、くろさんはトクベツだねえ」

満面の笑みでそんな事を言われては鈍感で奥手なくろと言えど流石に赤面せずにいられない。
しかし、

「(まあ、こんだけ泥酔してるやつなら妄言の一つ二つ吐くか…)」

という考えがよぎるとそんなちょっとした幸福感にも陰が落ちるのだった。

「お待たせしました」

そんな時、二人の元に頼んだ飲み物が届いた。
くろが自分とルフィルトのグラスに注がれたそれが全く同質のものだと怪訝に思う間もなく、
彼女はまるで喉が渇いたこどものように一気にそれを飲み干す。

「ぷはーっ。くろさんもオレンジジュースたのんだの?おいしいよこれ!ちょっとうすくてにがかったけど…」
「…ん?」

何か嫌な予感がした。
案の定、ルフィルトの目は酔いで更に濁りだしている。

くろも自分のグラスに注がれたものを一気に煽ると、その鋭い目を店主のほうへやった。

「…おい、店主。わざとやってんのか?」
「ちょっぴり苦いジュースを提供するのが私の仕事ですから」

店主は悪戯っぽく笑った。

「お嬢さんも少しは酒を嗜んでもいい頃でしょう。お二人に提供したのはカンパリオレンジ。あまり度が強いものでもありませんよ」

店主はそういうが、ルフィルトはカウンターに突っ伏して幸せそうに目を閉じはじめた。
くろはなんともないのにここまでだらしなく酔ってるのは単純に彼女に酒の耐性がないだけなのだろう。
くろは溜息を一つ吐くと、この悪戯ばかり仕掛ける店を離れるために財布を取り出した。

□□□

ルフィルトは一人で帰れると言ったが一人で夜道を歩かせるにはかなりの不安があったので、くろは彼女に同行してやった。
しばらく歩くとようやく彼女の家に着き、くろが玄関のドアノブを引いて扉を開けようとした瞬間、

そのドアが勢いよく開いて、くろの顔面を強打していた。
ひっくりかえったくろの横で、セリノと和辰がルフィルトの元に駆け寄る。

「おねーちゃんっ!?どこ行ってたんですかー!」
「おかえりなさい!本当に心配してたんですから…!セリノちゃんなんかちょっと前まで泣いt」
「余計なこと言っちゃダメー!」

次々とルフィルトに声をかけたり、セリノが失言しかけた和辰の胸部を思い切り手刀で打ったりと一気にその場は騒がしくなった。

「だいじょーぶだよ!わたしはくろさんとおはなししてただけー」
「ほんとーっ?変な事されてないー?」
「うんっ、たのしかった!」
「じゃあそろそろ家に入って下さい。ご飯にしましょう。僕たち、待ってましたから」
「ほんとお腹空きましたー。それにおねーちゃんが無駄遣いした分のお金の遣り繰り、考えてもらわなきゃいけないんだからねーっ」

くろの存在に全く気づいてないのか、子ども達はルフィルトに早く家に入るよう促す。
ルフィルトは半ば引っ張られるように家に入りながらも視線をくろに向けて、

(ありがとう)

と、口を動かした。

くろはそれを見て、ちょっと不機嫌そうな表情を作りながらも手を振ってやる。

ルフィルトもひらひらと手を振り返し、ドアはそっと閉じられた。

「ったく…」

くろは服の汚れを払いながら立ち上がる。

「(俺はとんでもない貧乏くじを引かされたモンだな)」

出会ってすぐには怒鳴られ、
次に会った時に荷物を運ぶのを手伝ってやったらいつの間にか川に落ちて、
そして今日は酔っ払いの相手をさせられた上に顔面を強打した。

でも―――――

“わたし、くろさんのことだいすきみたいだなあ”

その言葉を頭の中で反芻すると、くろは口の端を上げた。

「(また、アイツに酒飲ませてみたいかもな)」

下駄の音を響かせながら家路を歩いていくくろは、にこにこ楽しそうだった。


__2010-07-28 萩梨 さん:作__

萩梨 さんのブログ『書き散らかし』掲載ページはこちら

因みにルフィルトおねーさんとくろさんの関係はこんな感じw
→ルフィルトおねーさんのちょっと気になるような…いや、きっと間違いだ、うん! そうに違いない的気さくな友人。
※気さくな友人=貧乏くじを引く相手と言う。

これからもどうぞ仲良くしてやって下さい(^ワ^///

こちらはオマケ♪

今日のくろさんw
顔面強打の瞬間(>ワ<///
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■ねこしょうかい★
猫写真の紹介です(笑)<別名:親ばかコーナーです(>ワ<///
takara_04-23
takara_04-23 posted by (C)ゆきじ
ご機嫌♪


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コメント 3

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萩梨

可愛い挿絵をありがとうございます^p^
それからオマケもつけてくれてありがとうございますw
くろさん痛い目合わせてばっかでごめんなさいwww
これからも痛い目に合わせるかもしれませんが仲良くしてあげて下さい^^←

では失礼しまーす♪
by 萩梨 (2010-08-03 19:47) 

キリ

企画絵できました~
http://blog.so-net.ne.jp/rivu_kiri/2010-08-03
良ければお持ち帰りしてください^^*

にゃんこが可愛い!w
私も猫飼ってますが、写真とかついついたくさん撮ってしまいますよね~。

ではでは
by キリ (2010-08-03 23:56) 

ゆきじ

>萩梨 さま
ありがとうございます♪
挿絵っぽい物のお受け取り感謝です~(^^)
+オマケもねw
くろさんは頑丈なので多少の痛い目は全然平気ですよ~★
気にせずどんどんやっちゃって、更に仲良くして下さい(笑)

>キリ さま
ありがとうございます♪
わ~★
企画絵ありがとうございます!!!
睡眠後改めて頂きに上がります~(>ワ<///
楽しみvvv

にゃんこ、一度カメラを向けるとつい連続で撮っちゃいますよね~w
やっぱり親ばか症候群ですかね?(笑)


by ゆきじ (2010-08-04 01:48) 



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