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くろさんのお話 [→しんり・くろ・ぽとふ]

■萩梨 さんへ捧げ物♪
■くろさんのお話
■ねこしょうかい★
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■萩梨 さんへ捧げ物♪
前記事で紹介させて頂いたミニエピソードが凄く気に入って、思わず書いてしまった以下のお話の挿絵っぽいものでございます♪
100805koryu_kuro.jpg
萩梨 さんのみお持ち帰り下さい♪

萩梨 さんのブログ『書き散らかし』はこちら
で、まず。
ごめんなさい。
練習量が全く足りてませんorz
狐颯くんがゆきじのイメージする狐颯くんにならなくて、何度か描き直したり修正したりしたんですけど、コレが一番マトモに見られたので、ご容赦下さいませ;
その分、拳の(シュッ)な感じとかは頑張りました!
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■くろさんのお話
前記事で紹介させて頂いたミニエピソード。
物凄く気に入ってしまって、思わず勝手に拉致して書いてしまった以下のお話。
今回は狐颯くんが貧乏くじを引いたのか、いつものようにくろさんが引いたのかw
楽しんで頂けると幸いです♪

 ̄ ̄『吹き去りし風に意味は無く』 ̄ ̄

「アンタが、[くろ]サンか?」
銀色の短髪、少々不機嫌そうなツリメ気味の青い瞳。
身長は160cmと少し程だろうか。
黒色のタンクトップに銀色のドッグタグが光を弾き、軍靴のようなブーツに黒いズボンの裾を納めた少年の背には、黒く鈍い光を返す六つの刃を備えた大きな手裏剣のようなモノ。
そして、その声のウチにはそっと忍ばされた怒気が混じっている。
「・・・そう、だが・・・」
「そうか、じゃ、遠慮無く」
お前は誰だ?
と、問うよりも早く放たれる拳はタイミングのいい、パワーとスピードの乗った一撃。
下手に食らえば昏倒するような、そんな一撃だったので、気がつけば半身ズラして避けてしまっていた。

100805koryu_kuro.jpg

少年も避けられるとは思っていなかったのだろうが、そのまま踏み出した軸足を回転させ背負った大手裏剣を片腕に構え切りつける。
無駄のない、一連の動作にスピードとキレが増す。
不慮の事態においてもその都度対応して足を止めないところを見ると、多少なりとも実戦経験はあるのかも知れない。

・・・面倒だな。
そもそもコイツは誰だ?
見たことのない顔だ。

「オイっ! テメェ・・・避けんじゃねぇ! 当たんねぇだろ!」
「当たんないように避けてんだ!」
大手裏剣を器用に扱い、大型武具での接近戦で出やすい無駄な動きも殆どなく返す手、返す手で攻撃を繰り返す少年。
「一撃当てりゃあ俺の気が済む! 観念しろ」
「当たったら痛いだろ!?」
更に一撃を避ける。
この時只避けるだけでは無く少年の間合い以上に下がったのは長年生死間の戦いに身をおいていたが故に付いた反応だったのだろう。
大手裏剣を目隠しに、その死角から攻撃用の小刀が繰り出された。
「死なねえようにしてやるから我慢しろ!」
確かに止めを刺すつもりは無いようだ。
小刀はキチンと鞘に仕舞われてその刀身を晒してはいない。が、こんなモンで腹をどつかれたら胃の中のモノは全部出ちまうし、何より数日は痛いじゃないか。
「御免被る!」
当然即答だ。
何度かそんな会話を繰り返しながら攻防戦が続く。
「そもそもお前は誰だ? 何の目的で俺に一撃入れたいんだ!?」
避けながらようやく問う。
すると一瞬少年の纏う雰囲気が暗く重くなり、次の一撃がより深く強く繰り出された。
「テメェが・・・ルフィルトにヒデェ事、しやがったからに決まってんだろ!!!」
「・・・ルフィルト・・・?」
確かに夕べはルフィルトと飲んだ。
なんか妙に凹んでて一人で酒場に行かせるのも心配だったからだ。
しかし、結果的にヒデェ事されたのは俺だったような気がする。
酒場のおやじにはいいようにあしらわれた気がするし、ベロベロに酔っぱらったルフィルトを送って行けば開けようとした扉で顔面を強打した。(実は今もヒリヒリしてる)
ルフィルトんチのチビ共には存在をスルーされたし。
・・・まぁ、ルフィルト本人からは良い奴評価を貰ったとかあったので、決して全てがヒドかった訳でもない。
ジントニック美味かったし。
「・・・お前、ルフィルトんトコのチビか!?」
「!!!」
思わず口をついた言葉に少年はピクリと反応して動きを止めた。
「狐颯」
少年が小さく言う。
「は?」
一瞬何の事か分からなくて間の抜けた返事を返してしまった。
「俺の名前は狐颯だ、チビじゃねぇ、ガキ扱いすんな!」
一瞬止まっていた攻撃は更に激化してしまった。
少年、狐颯は大手裏剣を片腕に早く短く切りつけ、体中の筋肉を巧く使ってどんどん間合いを詰めてくる。
「いや、待て、そーじゃない、チビってそんな意味じゃない」
「またチビって言ったな! テメェ、ぶっ殺す!」
訂正しようと思ったら地雷踏んだらしい。
接近戦で使っていた小刀もいつの間にか抜き身で扱われているし、大手裏剣の使い方も間合いの取り方も先ほどまでのそれとは違う。

やれやれ。
どうしたものか・・・。

狐颯の攻撃のタイミングを見計らって、背を向けて一気に走る。
「あ、テメェ逃げるな! 背中がら空きにしてんじゃねぇ!」
良い奴だな、アイツ。
背中めがけて大手裏剣を投げたことを忠告してくれてるよ。
静かに空気を切り裂きながら飛び来る大手裏剣の間合いを計って振り向き半身を捻ってギリギリで避けるのと同時に、大手裏剣の中央の抜き穴に手をかけてスピードを殺さぬように真上に方向を変えて投げ上げる。
俺の投げ上げる力も加速されて大手裏剣はヒュゴッと音を立てて空へ消える。
「な!?」
大手裏剣の陰に回るように追撃していた狐颯が驚きの声を上げたが、間合いはギリギリ入っている。
俺も手裏剣を投げ上げて体制が崩れがちだ。
この機を逃さずに接近戦を仕掛けてくるだろう。
小刀の初撃を払うと払われた威力を取り込み回し蹴りが来る。
それをいなすと、いなされた威力を取り込み反対足の回し蹴りが出される。
そんな風に払われた威力を巻き込み次の一撃に繋げる体術は大したものだ。
くるくると軸足を交代させ回転を続けながら拳、小刀、上段蹴り、中段蹴り、下段蹴りにフェイントまで駆使してジリジリと終撃の一手のタイミングをはかる。
先ほど天空へ投げ上げた大手裏剣もそのうち落ちてくる。
狐颯にプラスする要素はあっても俺には面倒なだけだ。

よし。
逃げよう。

「うぉ!?」
狐颯から繰り出された上段の蹴りをいなし、同時にその軸足を引っかけて体制を崩させると同時に駆ける。
「もちょっとしたらアレ、降ってくるぞ、避けろよ?」
すり抜け際に忠告を残す。
これで恐らく少々の時間稼ぎは可能になっただろう。

狐颯は何やら大声で叫んでいたが聞いてやる事はない。
だいたい、テメェ逃げるなとかそんな所だろう。

ええと、それよりもルフィルトを探して誤解を解いて貰わんと困る。
どこに居るんだ、あいつ。

===

「んっと、お買い物はこれくらいかな?」
夕べの失態は狐颯君にちょっと愚痴ったりしたせいもあって、気持ち復活。
いつまでもヘコんで居られないので今日の夕飯のお買い物をしてきた所。
今日は夏野菜たっぷりの夏カレーの予定♪
にんじんは小さめに切って、ピーマンとセロリは微塵切りにして炒めて、トマトも入れよう。
お肉はミンチを使用して、ジャガイモは素揚げにしてお皿に盛るときに一緒にすれば傷みにくいよね♪
カレーなら狐颯君も食べに来るかな?
今日は愚痴も聞いて貰ったし・・・。
ああ、あとサラダはセロリとトマトの残りとそれにキュウリでいいかな?
それともサッパリと豆腐のサラダでもいいかもしれない。
そんな事を思いながら歩いているとサッと目の前に影がよぎった。

「「あ」」
影の主のくろさんと、私、ルフィルトの声が重なった。
そして。
「きゃー」
こんなに早く再会するなんて思っていなかったから、思わず逃げ出してしまった。
「ま。待て、ルフィルト」
「きゃー、きゃー」
くろさんの声が聞こえるけど駄目、昨日の今日だよ!?
恥ずかしくてとても顔なんて会わせられないっ!
買い物袋を持ったまま近くの公園へ駆け込む。
「ああ! テメェ!? マヂぶっ殺す!」
「ちょ、待て、誤解だ!」
くろさんの声の他にも聞きなれた声。
誰かしら?
振り返りたいけど、くろさんの顔を見るのは恥ずかしすぎる。
とりあえず、公園の大きな木の後ろに隠れて様子を見る事にした。
木陰に入って呼吸を整えて、そっとくろさんの方を見てみる。

あれ? 狐颯君?
なんで怒ってるの?
なんでくろさんと戦ってるの!?

狐颯君が大きな手裏剣を構え、くろさんに向けて放つ。
「危ない! くろさん!」
思わず木陰から走り出してしまった。

===

ルフィルトを探し出した所で狐颯にも追いつかれてしまった。
案外足が速いし追跡技術も高いな、アイツ。
しかし、本題の誤解を解いてくれと言う前にルフィルトに逃げられその場面を狐颯に見られたのが痛い。
完全に俺がルフィルトに何かやらかしたと思われてしまったようだ。
狐颯の一切容赦のない冷たい殺気が静かに満ちていく。
そして、気合いと共に必殺の一撃が放たれた。
大手裏剣が微妙なブレを見せながら迫り来る。
投げるときに絶妙のタイミングと力加減が加えられ、終撃の為の囮として、または直接の一撃として獲物を狩るため、その進行方向を悟らせず間合いに入った所で思わぬ動きをしてみせるのだろう。

・・・避けるより迎撃した方が安全だ。

そう考えて半身構えた所でルフィルトが駆けだしてきた。
「危ない! くろさん!」
そう言って、俺を狙う大手裏剣の攻撃ライン上にその身をねじ込み、その身を盾にして俺を庇うべく抱きついた。
ありがたい事なのだろうが、すまん、邪魔だ。
構えも充分にとれず、抱きつかれたせいでバランスが崩れた。
大手裏剣は目前に迫り、狐颯が突然のルフィルトの乱入に驚き己の放った一撃をどうにかしようと思うのだろうがそんな時間は既に無い。
大手裏剣は間合いに入り、予定通り仕組まれた技を発動する。
幾重にもブレて残像を残し、瞬きするまもなくその数は40を越え一斉に俺に向かって来る。
ルフィルトはしっかりと俺に抱きつき我が身を持って守ろうとぎゅっと目を瞑っている。
「ルフィルト!」
狐颯が手を伸ばしルフィルトに駆け寄る。
俺は腹に力を込め、短く「応ッ!」と気合いを放つ。
俺を中心にした空気の層がビリビリ震え、恐れ逃げるかのように空気が風となって外周へ向けて走る。
そして、俺はその残像の中の大手裏剣の一つを叩く。
空気の振動でもブレなかった、その横面を思い切り。
ガインッと派手な音がして大手裏剣は弾かれ、二撃目の風切り音は無し。
大手裏剣による他攻撃は無しと判断する。
後は迎え討つなら狐颯のみだか、ルフィルトを心配して駆けてくるその顔をみれば、その必要も無いだろう。
「ルフィルト! 怪我はないか!」
「出来ればそろそろ離して欲しいんだが・・・」
狐颯がぎゅっと目を瞑るルフィルトへ声をかけ、俺も声をかける。
そうするとルフィルトはそぅっと目を開けて、状況の把握に勤めようとしているようだ。
「・・・。」
何か思い当たるような事に行き着いたのか、ハッとした顔で俺を見上げる。 
「怪我! くろさん、怪我は!?」
「無い」
「本当に!?」
「無い。俺にあればお前の方が重傷だろうが」
心配顔で何度も尋ねるルフィルトに笑って見せる。
「あ、えと。・・・えへへ、そっか」
照れたような、安心したような顔から満面の笑顔に変わる。
「俺は一人ならどうとでもなる。心配するな、お前の方が心配だろう」
柔らかな金の髪をしたルフィルトの頭をぽんぽんと軽く叩くように撫でてやる。
「あ、うん。そーかも」
ルフィルトは小さな声で返事をしながら、顔を赤くして少し俯いて笑ったようだった。
「・・・あ~。ルフィルト?」
狐颯が何か言いた気な顔でルフィルトをつつく。
「え? あ、狐颯君?」
「ルフィルト、コイツに酷いことされたって・・・」
「誤解だ、夕べは飲んで酔っぱらいを送ってっただけだ」
「え? 私酷いことされたなんて言ってないよ? 私が言ったのは・・・くろさんに・・・」
そこまで言って俺の顔を一瞬見て、真っ赤になってそっぽを向いた。
「え~。じゃぁ、ナニ? 今日の俺の労力は一切無駄だったって事?」
「?」
狐颯の呟きにルフィルトが耳を傾けている。
「あ~。もう! こんな事なら寝てりゃあ良かった。ルフィルトがコイツとイチャツくの見てもしょーもないもん」
「いっ、いちゃ!? ついてない! イチャツいてないよ!?」
ぶんぶんと首を横に振って否定するルフィルト。
「・・・説得力ねぇ」
ぐったりした顔で俺たちを指さす狐颯。
指さされた先には俺にしがみいたままのルフィルト。
「きゃ~~~!?」
それにようやく気がついたルフィルトは大きな悲鳴と共に思い切り、力一杯俺を突き飛ばした。
運の悪いことにルフィルトの持っていた荷物が俺のすぐ後ろ足下に転がっていて、踵に当たった紙袋を踏みつぶさないように配慮したのが間違いだったかもしれない。
俺はバランスを崩して何度かたたらを踏みながらもどうにか転けるのを堪えていたが、最終的には公園の噴水に引っかかって盛大な水飛沫を上げたのだった。

「ごめんなさい~」
ルフィルトがしょげている。
「あ~、えっと・・・、悪かったな」
狐颯が気まずそうに詫びを入れる。
「・・・気にするな、この時期なら直ぐに乾くだろ。お前らも気をつけて帰れよ」
軽く手を振ってびしょ濡れのまま歩き出す。
髪が顔にへばりついて鬱陶しい。

後方ではルフィルトが狐颯に何かしら問いつめているようで途切れ途切れに会話が聞こえる。

一体何があったの?
何してきたの?
どうしてこんな事になったの?
いや、だから、その・・・
俺はルフィルトがアイツに、その、とても口では言えないような事をされてそれで困ってるんだと・・・
ええ!?
ナニソレ!?
そ、それくろさんに・・・!!!
いや、言ってない、多分言ってない・・・

内容はよくわからないがバタバタと楽しそうだ。
カランコロンと下駄の音を共に俺は家路へ向かった。

・・・結局、今日は何だったんだろうな・・・
夏の夕暮れに、ようやくの涼しさを含んだ風が一陣吹きすぎた。

__2010/08/5 ゆきじ
このお話は、萩梨 さんのみお持ち帰り下さい♪

狐颯くんとルフィルトおねーさんの口調や思考、行動の違いは大目に見てやって下さいorz
ゆきじ的には狐颯くんに追っかけまわされて困ってるくろさんと、テレテレに照れる可愛いおねーさんが沢山書けたので満足(笑)

萩梨 さん、お子様拉致失礼いたしましたvvv(^ワ^)
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■ねこしょうかい★
猫写真の紹介です(笑)<別名:親ばかコーナーです(>ワ<///
takara_05-05
takara_05-05 posted by (C)ゆきじ
なが~く伸びちゃう!


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七不思議

おはよう御座います。
猫が!
猫が~!
可愛いことになってますね!〃(o*>ω<)o〃
…アンジュは20キロあるので無理です…orz
ぶらーんってやってみたいっ!!
by 七不思議 (2010-08-09 05:30) 

萩梨

伺うのが遅くなって申し訳ありません。
まずは昨日のイラストのお礼から、
ほんとありがとうございます…
武器も表情とかも彼のイメージ通りの仕上がりですv
さすがはゆきじさんです…!><*

そして今日は素敵なお話、挿絵ありがとうございます!
思わず何回も読み返してしまいましたw
口調も思考なんかも彼そのものですし、
それから彼の戦闘方法についてほとんど言及したことないのに何故かイメージ通りなんですよー…!
ルフィルトとくろさんのイチャイチャも美味しかったですv
くろさんの最後の案の定ぶりも大好きです、よ!^^

立て続けにこんな素敵なものをありがとうございましたっ
いつか何かお返しします…!

ではでは、乱文失礼しました!

by 萩梨 (2010-08-09 19:19) 

ゆきじ

>七不思議 さま
ありがとうございます♪
猫、二足直立に挑戦です★
…実は前足をかけている手に大好きなオヤツが乗っていてそれを頂戴~v と言ってるのです(^^)

>萩梨 さま
ありがとうございます♪
イラストやお話のお受け取りも感謝です~v
イメージ合ってて良かった(^^)
お話の方もどうにかイメージズレが少なくて済んだようで安心しましたv
戦闘も書いててとっても楽しかったです♪
そしてルフィルトおねーさんも可愛かったし、くろさんもいつもの通りでご満悦したゆきじですw
次記事も捧げ物ありますよ~v
受け取ってね(^^)


by ゆきじ (2010-08-10 00:17) 



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