SSブログ

セシュカのお話(中編) [→セシュカ]

■コケモモさんと萩梨さんへ捧げ物♪
■セシュカのお話(中編)w
■ねこしょうかい★
_____

■コケモモさんと萩梨さんへ捧げ物♪
今回はお話なので、挿絵っぽい物ですw

novel_sesyuka101102.jpg
コケモモさんと萩梨さんのみお持ち帰り下さい♪

コケモモ さんのブログ『ARIAN RHOD』はこちら
萩梨 さんのブログ『書き散らかし』はこちら

続きに原寸がありますw
本文と共にお楽しみ下さいv
_____

■セシュカのお話(中編)w
3人で成り切りチャットで遊んでおりましたら、お話が一本通ってしまいましたので、分担して清書してみましたw
セシュカメインのお話なので、ゆきじの方から纏めてご紹介ですv
今回の書き手様はコケモモ さんvvv

 ̄ ̄『それは最初の』(中編) ̄ ̄

「で、Juliaちゃんは彼がどこで喧嘩してるか分かってるの?」
セシュカが家の中へ入るのを確認したルフィルトが、Juliaに尋ねた。
「もっちろん!!」
それに対し、自信満々にJuliaは微笑んだ。
「ガイアは、いつもあの通りでやんちゃしてるから・・・」
人差し指を伸ばして、考え込むように首を傾げる。
「ほんと!?」
ルフィルトが、驚いたような、確認するような声でJuliaにまた、問いかけた。
そんなルフィルトを見て、流石に自信が少し無くなったようで、Juliaの頬が微かに引きつった。
「たぶん・・・ね」
先程までの自信満々な表情は何処へ行ったのか。
自信なさげに、ルフィルトを心配させぬよう、ぎこちなく微笑んだ。
「行く、んだよね?」
それに気が付いたのか気が付いていないのか、ルフィルトの視線は宙を泳ぐ。
何か嫌な予感がするようで、その頬を冷や汗が短く伝う。
「とうぜん! 屋根の上から、ね!!」
パチッと指を鳴らして、そのままの指をJuliaはルフィルトに向けた。
「や、屋根の上ぇ!? 登れるのかな・・・?」
微笑むJuliaに、心配そうに聞き返すルフィルト。
Juliaは当然の如く、屋根の上を行く、と言うのだがこのあたりの屋根は、通常の屋根よりも、何倍も大きく、高く建っている。
それをルフィルトが心配するのも当然であった。
「登れるわよ♪」
人差し指を立てて、Juliaは軽くウィンクする。
「根性があれば乗り切れる!!」
頼もしそうに頷いたJuliaに、ルフィルトは首を項垂れた。
「うう・・・努力します・・・」
既に登る用意を整えたらしいJuliaが、そんなルフィルトを見て、困ったように首を傾げた。
「登れる・・・のよね?」
「・・・無理かも」
然程、運動神経に自信のないルフィルトに重い空気が圧し掛かる。
「そう…よねえ。そんな辺りだろうと思ったけど・・・」
軽くこめかみに指を当てて、考え込むJulia。
「私が引き揚げてあげてもいいけど、時間がかかるのよ…」
「どうしよう、、、」
2人が困ったように顔を見合せた時―――

何処からか、一人の青年が歩いてきた。
全体的な黒髪であるが、前髪だけが銀色に見える、着流しに下駄姿の青年。
「なにやってんだ? ルフィルト」
ルフィルトの姿に目を止めて、優しげに話し掛けてくる。
「うわあっ、くろさんっ! どこからともなくびっくりだ!!」
青年を見て、ギョッとしたような、嬉しそうな声で、ルフィルトが言った。
くろさん―――くろは、その反応に笑った。
「ぷっ、びっくりって、そりゃ、こっちのセリフだろう」
「まあ…そうなんだけど…」
若干、驚きから覚めたルフィルトが、困ったように頷いた。
「知り合い?」
突然、屋根の上から、Juliaの声がする。
くろがやってきたのと同時にJuliaは屋根の上に上っていたようだ。
「アナタが、くろさん…よね?」
そう尋ねたのだが、答えを待たずに、話を続ける。
「くろさん、今は時間がないわ! ルフィルトちゃんを屋根の上に!」
屋根の上に腰かけ、2人を見つめながらJuliaがくろに向かって言った。
「Juliaちゃん、彼がくろさんなのっ。 あの、お手伝いしてもらえないかな?」
そんなJuliaに、ルフィルトが、隣にいるくろにはなるべく聞こえないように言った。
「え・・・!? 何のお手伝いかしら?」
どこか、楽しそうにJuliaが、悪戯っぽく聞き返した。
「…!! だから~っ―――」
ルフィルトの頬が真っ赤に染まる。
言い返そうとしたルフィルトは、くろに横抱きされてしまう。
「屋根の上に連れていけばいいんだろう?」
「く・・・っ、くろさん・・・っ!!!」
先程よりも、顔を赤くして、子供のように暴れるルフィルト。
「ルフィルトちゃん、少しだけだから落ち着いて」
屋根に座ったまま、Juliaが声援を送ってくる。
「―――落ち着けって言う方が無理だよ~!!!」
尚も暴れるルフィルトを苦労して抱えながら、くろがJuliaの居る屋根に一足で上がった。
「で? 行く先に届けろって?」
ルフィルトを一度屋根の上に降ろしてから、くろがJuliaに問いかけた。
それに対し、Juliaは頷く。
「私が先導するから、ルフィルトちゃんをよろしくね」
それだけ言い残すと、踵を返して走り出す。
その動きは、全く屋根の上であるという事を感じさせない素早さである。
それどころか、地で駆けるより、現在のスピードの方が早くも感じる。
「流石、Juliaちゃんだなあ・・・」
呆気に取られたようにその背中を見送るルフィルトを、くろがまた抱え上げた。
「置いてかれるぞ?」
「・・・くろさん、お願いします///」
くろと目を合わせないよう、俯きながらルフィルトは頷いた。
「へいへい」
言いながら、微笑むくろ。
いつの間にか、遠く離れたJuliaの背中を、負けず劣らずのスピードで、くろは追いかけるのであった。

幾つかの屋根を渡り、目的の通りへ近付く。
「ここでいいか?」
息切れ一つせずに、2人を待っていたJuliaにくろは尋ねた。
「ええ。くろさん、ありがとう。 お陰で早く着いたわ♪」
「うん、ありがとうっ!」
Juliaと共に、屋根の上に降ろされたルフィルトが頷いた。
「そりゃ、良かった。・・・あっちには、近づくなよ? ルフィルト」
微笑んで、頷き返したくろが、通りの奥に目をやり、2人に視線を戻し、言った。
「・・・え? どうして?」
そう答えながらも、ルフィルトは少し視線を逸らした。
これから、ルフィルト達が向かう通りには近づくな、くろはそう言っているのだ。
「なんか、喧嘩してるみたいだからな」
然してルフィルトの様子に気に留める事なく、くろが呆れた様子で横に首を振った。
「じゃ、な」
チャッと、軽く肩越しに手を振ってくろが、ひらりと屋根を降りる。
そのまま、くろの背中はどこかへ消えた。
「ほんとにありがとうくろさん! 帰りは気をつけて~!」
手を振って、くろを見送るルフィルト。
「心配してもらってうらやましいわ~♪」
からかう様に微笑むJulia。
「いや…別にそんなんじゃないよ…っ!!」
真っ赤になった顔を隠すように俯いて、ルフィルトが言い返した。
「さっ! そんな事より、屋根の上歩ける? くろさんいないけど?」
にっこりと微笑んで、Juliaがルフィルトに視線を向けた。
「うんっ」
元気良く頷いて、ルフィルトが一歩踏み出す―――

一歩踏み出したものの、そこから次の一歩を踏み出す事が出来ない。
ルフィルトの笑顔が凍りつく。
「Juliaちゃん・・・」
「ん?」
通りの観察をしていたJuliaが、ルフィルトの声に振り向いた。
「私・・・無理かもしれない・・・」
「…そうだったわね」
その言葉に、Juliaが溜息をつく。
「しょうがないわ。・・・ルフィルトちゃん、私の手に掴まって?」
「うん・・・っ?」
言われるがままに、Juliaの手に摑まるルフィルト。
「じゃあ・・・息を止めてた方が・・・いいかな?」
ゆっくりと、一言一言区切る様に言うJuliaに、ルフィルトは首を傾げる。
「ルフィルトちゃん、いくわよ?」
その言葉に返事を返す暇もなく、ルフィルトはJuliaの背に背負われていた。
「え・・・ええ!? Juliaちゃん、何する気なの!?」
「ルフィルトちゃんを、待ってる時間は無いのよ? それとも、一人で来れるんだったら下ろすけど・・・」
「・・・Juliaちゃん、お願いするね」
「了解っ!! もう一回言うけど、走ってる途中に話すと舌噛むからね?」
肩越しに、少し振り返り、Juliaが注意するように首を傾げた。
ルフィルトは、何も言えずにコクリと頷く。
それを確認すると、Juliaは走り出した。
屋根の上を軽やかに。
まるで、宙を舞う蝶の様に。
それは、超人的技能者の集められたサーカス団『PRISM・PRISM』の軽業師の名に恥じない動きであった。

「はいっ!! ご苦労さまでした~!!」
あの場所からも微かに感じられていた喧騒が、すぐ近くで感じられるような場所で、Juliaはルフィルトを屋根の上に降ろした。
「相変わらずの、早さだったねえ・・・」
感嘆の声を漏らすルフィルト。
「私より、くろさんの方が良かったかしら?」
からかうような声色で尋ねるJulia。
「そ、そんなんじゃないって・・・!! って、あそこで喧嘩してるのがガイアくんかな?」
Juliaの質問から逃げるように、視線を泳がせると、ルフィルトは一人の青年に目を止めた。
漆黒の髪に、鋭い銀のメッシュが一筋。
彼の周りを囲む青年達を、素早い動きで攻撃している。
「うわあ、すごいね・・・」
「そうねえ・・・流石にこれは、やりすぎよ」
驚いたようなルフィルトに、呆れた様に肩を竦めたJuliaが頷きかける。
「ルフィルトちゃん、落ちないようにね?」
優しくルフィルトを屋根の上に座らせたJuliaが、その隣に座った。
「実際に喧嘩を見たのは初めてだからわからないけど、ガイアくんは今、優勢なのかな?」
尋ねるJuliaに頷き返して、改めて問いかけるルフィルト。
「まあ、奏琉のサポートあっての優勢かしら?」
彼と背中合わせに立ち、軽い動きで相手を倒していく赤毛の青年を示すJulia。
「でも、心配だなあ…。ほら、ちょっと顔とかに傷できてるみたいだよ?」
ルフィルトの言うとおり、ガイアや奏琉の頬や腕に赤い傷が一筋出来ていた。
他にも、所々服も切れているようで、お互いの白い肌がその切れ目から覗く。
その白い肌にも血が滲み、痛々しそうであった。
「最近の子は危ないわねえ・・・」
呆れたように言いながらでJuliaが溜息をつく。
「そうだねぇ…。あら、間もなく勝てそう? なのかな?」
「私は…まだ何かありそうな気がするわ」
そう言って、お互い顔を見合わせる。
「このまま、この姿をセシュカちゃんに見せちゃうのか・・・」
「セシュカちゃん、心配するわね…確実に」
「うん・・・」
「心配させる様な事するから…セシュカちゃんも心配しちゃうのに」
先程までの呆れたような口調から、心配するような口調へと変わる2人。
2人の脳裏には、家で待つ一人の少女―――セシュカが浮かんでいた。
「怪我してるくせに笑ってるのもどうかと思うけど、、、」
Juliaの冷たい視線は、傷だらけでありながら楽しそうに微笑んでいるガイアと奏琉に送られている。
「そうね…。でも、彼を待っている今、セシュカちゃんは心細いんじゃないかな。早く戻るなり、ガイア君を連れ戻すなりしないと…」
彼女の意見に頷きながら、心配げな表情で喧嘩の行く末を見つめるルフィルト。
「でも、くろさんに近づくなって言われなかったっけ?」
思い出したように、口の端に人差し指を当てるJulia。
「私はともかく、ルフィルトちゃん・・・」
観察するような視線を、ルフィルトに向ける。
「喧嘩・・・弱そうだわ」
「うう…。そうだね。早く喧嘩終わらないかな・・・?」
項垂れながらも、眼下の喧騒を凝視するルフィルト。
「それにしても・・・さっきより、荒れてる気が・・・」
その言葉に、ルフィルトはギョッとしたように身を乗り出した。
「えっ・・・!?  嘘!これ、二人だけで戦えるの…?」
「無理ね」
慌てた様に言うルフィルトに、短くJuliaが言い放った。
「しょうがないわ・・・私が相手してあげようかしら?」
そう言いながらも、楽しそうな笑みを浮かべゆっくりと立ち上がるJulia。
「えええっ!? くろさーん!…はもういないし…Juliaちゃんだけじゃ危ないでしょう?どうしようっ?」
助けを求めて辺りを見回すが、この通りに近づく者は少ない。
その上、ガイア達が激しい戦闘を繰り広げている事から、さらに付近に人がいる確率低くなる。
「一人で大丈夫・・・?」
「安心して♪ 私、喧嘩慣れしてるから」
にっこりと微笑んで、ルフィルトの不安を消そうとするJulia。
「すごく・・・心強いです・・・」
苦笑を交え、ルフィルトが頷いた。
そんな彼女を後目に、Juliaは一足屋根を蹴った。
楽しそうな笑みを浮かべながら、Juliaが跳躍する。
幾度かの回転を加え、宙に舞うJulia。
トン、と、綺麗に着地すると、チャッと手を振った。

novel_sesyuka101102.jpg

「真打ち登場!!」
Juliaの恐ろしげな笑みと、その迫力に相手は気圧される。
「うわ・・・Julia」
嫌そうな表情で、ガイアが小さく呟いた。
そんなガイアを睨みつけて、Juliaがフッと微笑んだ。
「奏琉! 手伝いなさい! アナタはそんなに疲れてないでしょう?」
「やっぱり、来ると思った」
苦笑を交えて微笑むと、Juliaの横に立つ。
体の色々な場所に痛々しげな傷が残るが、それほどの疲労は感じていないようで、未だに軽い動きを見せる。
「ガイアは少し休んでろ」
「了解」
振り向いて言った奏琉に、ガイアは片目を瞑って見せる。
そして、ルフィルトを見上げた。
チラリと2人を見ると、軽く地を蹴った。
ルフィルトの隣に座ると、疲れた様に伸びをする。
「アンタは喧嘩、見て勉強したら?」
明らかにバカにしたような口調で、ガイアが言った。
「はい、お言葉に甘えて…。って、きみはこれ以上セシュカちゃんの心配の種増やさないであげてよう」
反論するルフィルトにガイアは微かに驚いたような色を見せる。
「・・・! 別に・・・アンタに言われる事じゃない」
「あらそうなの…? さっきまでセシュカちゃんの涙ながらの相談受けてたんだけどな…」
じとーっとしたような目を向けるルフィルト。
「・・・あっそ」
そんなルフィルトから、ガイアは拗ねた様に顔を背ける。
「…今すぐ、セシュカちゃんの所に戻ってあげた方が、いいかもよ?」
「、、、無理。アイツらを置いて帰れない」
少しの間があったが、すぐに返答するガイア。
「どうせ、あの人達はほっといても大丈夫です。私も後方支援ならできますし。お願い、戻って」
お願いするような口調に変わり、ルフィルトがガイアを見つめる。
「・・・・・・」
先程より、多少の迷いが生じた様だが、ガイアはゆっくりと首を振った。
「あー! もう! セシュカちゃんは君の家で君が来るのを待ってるの! 怪我だらけで帰ってくる君を、不安でいっぱいになりながら…っ!」
「・・・そんなに怪我してないし」
ガイアの反応を否定するように首を振りながら言うルフィルトに、ガイアは短く言った。
「それでも帰らないっていうなら君はひどいやつだよ! セシュカちゃんのこと、なんにも考えてない! 馬鹿! 馬鹿! サイテー!」
子供の様にガイアを罵るルフィルトと目を合わせないよう、眼下の戦闘を見つめながら、辛そうに唇を噛むガイア。
「・・・セシュカちゃんの所、行かないの?」
動揺したようなガイアに、ルフィルトは優しく聞いた。
意を決したように息を吐くと、ガイアはルフィルトを真正面から見た。
「・・・・・・行かない」
そんな彼を見て、諦めた様に首を振った。
「…そっか。じゃあ、せめて、終わったらきちんと説明してあげてよ。セシュカちゃんに説明もなしに喧嘩に行くの、なしにしてよ」
「・・・ああ」
大人しく頷くガイア。
「じゃあ、さっさと喧嘩終わらせてきてよ。強いんでしょ?」
既に戦闘の方に目を向けながら、投げ遣りにルフィルトは言った。
「…いいよ」
もう一度頷いて、ガイアは屋根から飛び降りた。
そんな彼を見て、一人を回し蹴りで壁に蹴り飛ばした奏琉は、溜息をついた。
「休んでろって言わなかった?」
「言った。でも、アイツが煩いからさ」
言いながら、ガイアがルフィルトを見る。
「来ると思った♪ さあ、やっちゃいましょう」
足を跳ね上げて相手の顎を蹴った後で、Juliaが楽しそうに微笑んだ。

最初に動いたのはJuliaであった。
一番近くにいた一人の鳩尾に、拳をぶつけると、その反動で吹っ飛んだ相手を、回し蹴りで壁にたたきつける。
そのまま跳ねあがり、もう一人に蹴り付けると、後ろにいた者諸共、その脚力で沈める。
疾風の如き動きと、女性離れした隠れたしなやかな筋力、そして、超人的運動神経それらが合わさって、Juliaの戦闘能力を高めていく。
壁に相手を伏せたあと、力強く壁を蹴り宙に舞う。
そして、電光石火のごとく相手を叩きのめす。
早さが重さに、鞭の様にしなりその威力を何倍にも跳ねあげる。
その重い一撃を瞬間にまともにくらってしまえば、顎の骨も砕けよう。
流石にそこまでするつもりもないのか、脳震盪程度で済ませている。
そして、ガイア。
そのスピードを生かし、相手に近づくと痛々しい一撃をくらわせる。
後ろから襲い来る相手さえも、バク転で蹴り飛ばす。
バク転後、一度だけ手をつくと回転を加え周りを囲む者の足払いを掛ける。
バランスを崩し、倒れようとする相手一人一人に一瞬で、一撃をぶつけていく。
既に遊びの余裕は捨てた様で、先程までの笑みは消えている。
目には冷たい色が宿っているようで、睨まれた者は気圧された様子で、後ずさる。
しかし、そんな暇を与えず、急所に左足の蹴りを入れる。
苦しげな呻き声を残し、倒れ伏する相手を一度蹴り、壁際に寄せる。
次にJuliaに向かおうとする相手の首根を掴んで引き戻す。
屋根の上でわぁわぁと責め立てられた腹いせも少々含んで、相手の腹に重い拳の一撃、続いて蹴りをくらわせると、相手はその体を壁にぶつけて崩れ落ちた。
その後ろで、堅い物のぶつかりあう音が響いた。
みると、装飾の施された剣を、相手の数人と奏琉が持ちながら、斬り合っているのである。
普段の奏琉は素手の喧嘩では、武器を使用しないのだが、今は彼の持つ剣が容赦なく相手を狙っている。
本々の元凶は相手にあった。
次々と敵をなぎ倒していく彼らに幾分か恐れを感じたようで、何処からか武器を取り出してきた。
それに目を止めた奏琉は、今相手にしている者を、武器を手にする者の一人に向けて蹴り飛ばし、相手が目を回した隙に手に持つ剣を拝借した。
しなやかな剣さばきと、軽やかな動きで、剣を弾く。
相手に剣を刺す必要もないと思っているのか、剣の腹で急所を強く叩いて相手を地に伏せる。
剣同士がぶつかり合う度に甲高い金属音が辺りに響く。
その音が耳触りの様で、奏琉は顔を顰めると、後ろに飛んだ。
咄嗟の事に、自分の剣は宙を切り、バランスを崩す。
奏琉は、手に持つ剣を捨て、何処からか怪しく黒光りする銃―――『月翔』を取り出した。
尚も襲いかかろうとする相手の武器めがけ、弾を撃つ。
寸分の狂いもなく真っ直ぐに飛び、相手の手にする武器は呆気なく落とされていく。
向こうは銃器を持ち合わせてないようで、助かった。
ガイアもその手にはサイを軽く握っている。
サイの三叉の先を使い武器を封じ、サイの柄を武器にして次々に叩きのめす。
そうして、数十人もの相手をたったの3人で沈黙させた。

地に転がった相手を、満足げに見下ろして、Juliaはパンパンッと両手を合わせた。
「ご苦労様でしたっと♪」
その後ろでは、先程から仏頂面であったガイアの表情に、思いつめたような色が浮かぶ。
先程のルフィルトの話を思い出したのだろうか。
そんな様子のガイアを見て、奏流が欠伸をした。
「・・・そんなに気になるんだったら、行った方がいいんじゃない?」
眠そうに伸びをしながらも、その赤い瞳は興味津津、といった様子で輝いている。
「そうね。この場も一段落したし、セシュカちゃんも待ってる事だから、帰りましょう」
傷一つ負っていないJuliaが、ガイアの背中を押した。
「いつまでも、彼女を待たせてたらダメよ?」
「―――分かってる」
優しく話し掛けてきたJuliaに頷き、ガイアは何かを断ち切るかのように首を振った。
「じゃあ・・・行こうか」
フッと微笑んで、奏流が言った。
「そうよ、お姫様を迎えに行ってあげないと、今頃、アナタ達の帰りが遅い事を心配してるんじゃないかしら?・・・もちろん、私も含めて」
そう言った後に、Juliaは顔を曇らせた。
ガイアを連れ戻すためにここにいるのだが、当の本人には、何も言わずに出てきたのだった。
家で帰りを待つセシュカを思い、Juliaはガイアを押す力を強めた。
「さ、帰るわよ」
Juliaの前に立つ二人が、そういった彼女を振り返り、頷いた。
トンッと、軽く地を蹴りJuliaが屋根の上に上がった。
それに続くように、ガイア、奏流も跳躍する。
行きと同様、思わず感嘆の声をあげてしまうような早さでJuliaが屋根の上を走る。
それに勝るとも劣らないスピードで、其々の屋根を行く二人。
常人並ではなく風のように屋根の上を行く三人であったが、彼らは一つ、忘れている事があった。

波のような静けさが、辺りを包み、先程の喧騒は、まるで幻のように消え去った。
その場所に建つ屋根の上。
ポツン、と一人取り残されたルフィルトが困ったように、周りを見回していた。
当然の如く、周りに人の気配は無く、ルフィルトの声が、寂しく響き渡るのだった。

__2010-10-12 コケモモ さん:作__

コケモモ さんのブログ『ARIAN RHOD』はこちら

今回は戦闘編でしたv
セシュカのお話だけど殆ど出番なし(笑)
代わりにふらりとくろさんが登場してます♪
個人的にくろさんは便利な感じで良いと思いますw

ケモさん参加、協力、執筆と本当にありがとうございました♪
これからもどうぞ仲良くして下さい~★

続きはゆきじの挿絵っぽい物次第ですorz
が、頑張りますw
次回がラストに成ります(^^)
_____

■ねこしょうかい★
猫写真の紹介です(笑)<別名:親ばかコーナーです(>ワ<///
takara8-16
takara8-16 posted by (C)ゆきじ
大小セットでw


Thank20You.gif
nice!(39)  コメント(0) 
共通テーマ:キャラクター

nice! 39 /現在nice!: 50994v キリnice!№要チェック~☆

コメント 0

コメントの受付は締め切りました


『Livly Island』『リヴリーアイランド』は、株式会社ゲームポットの登録商標です。
リヴリーアイランドに関わる著作権その他一切の知的財産権は、 株式会社ゲームポットに属します。
このサイトは『リヴリーアイランド』 および株式会社ゲームポットとは一切関係がありません。
このブログの絵文の著作権は管理人が有し、無断転載・配布・加工等は禁止です。※配布以外の絵文のお持ち帰り禁止。
ブログにある版権物等は各出版社や発売元とは一切関係ありません。
≫ キリnice!:54321
→nice!:55555/56789

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。